Nimbus EWtandem+ ホワイトウォーターテスト
Nimbus EWtandem+の
ホワイトウォーターにおけるポテンシャルをテスト!!
乗員2.5人というBNG最大級のパックラフトであるNimbus EWtandem+。
例えば、穏やかな川の中にも、ちょっとした瀬があったりするのが当たり前。
「穏やかな川って、どれくらい穏やかじゃないとだめ?」
「穏やかじゃないところがあったらどうなるの?」
って思いますよね。
というわけで、我が家のガールズを乗せて、「ちょっと穏やかとは言えない」川で、その走破性能をテストしてきました! (2022秋)
なお、繰り返しになりますが、このテストは、ホワイトウォーターでガンガン使うための性能テストではなく、「基本的に穏やかなフィールドを想定した設計のパックラフトでどの程度の状況に耐えうるのか」を測ることを目的としています。
ガンガン行きたい人は、やはりホワイトウォーターモデルを選びましょう!
1.Nimbus EWtandem+の特徴・スペック
【Nimbus EW tandem+】(詳細は商品ページ参照)
全長:330㎝ 内長:205㎝ 、2気室 、総重量(Tシェイプシート装着時):4.7㎏ 本体重量:4㎏
定員:大人2名+α(子ども、犬など)
1番の特徴は、ソロ~2.5人という多様な乗員バリエ―ションを可能にする、シートセッティングの自由度です。
その他、軽さ、喫水の浅さ等、パックラフトらしさともいえる特徴は他のモデルと同様。
※今回は、セーリングパックラフトへの改造を前提とし、さらに全長を30㎝伸ばしたタイプ使用。(パックラフトセーリング系の記事はこちら)
2.その他の主な装備
Tシート:カヌー式に座れるようになるイス。下部は船底まであり、ペラペラの船底の形を保持する。
アッパーシート:カヌー式に座れるようになるイス。下部には荷物を置けるスペースが生まれる。(近日発売予定!)
前 → ダブルパドル
中・後 → シングルパドル(シングルパドル化セット、発売予定!)
大きなブレードでワンストロークが力強い。
シングルパドル仕様では、片側ながら動かし方の自由度や可動範囲が大きく、船頭の舵取りには非常に効果的。また、タンデムで漕ぐときには、前後のパドルがぶつかりにくいのもいいところ。
あまり知られていないかもしれないが、水を被りにくいので、寒い時期にもおススメ。
3.テストコース
テストコースとして使用したのは、岡山県西部の高梁川の井倉周辺。(店長マップ「高梁川 井倉~方谷」参照)
コース:高梁川 井倉~方谷
延長:約9km
コースタイム:4時間くらい(休憩、ポーテージ、ごはん・焚き火等含む。のんびりペースです)
高梁川は店長にとってはおなじみ、心のホームリバーです。子供たちが小さいころから、一人用パックラフトの親子2人乗りで何度も下ってきました。
(高梁川過去の記事はこちら)
高梁川のこのエリアの特徴としては、2級程度(水量で変化)の楽しい瀬がほどほどに断続し、岡山で他のエリアが渇水の時にも比較的水深が確保されていることが多いです。
しかも、渇水時は渇水時で、石灰岩の浸食地形が楽しめ、いつ行っても楽しい!
洞窟ノッチ
渓谷としてはさほど険しくない地形のため、ポーテージやスカウティングは比較的やりやすいです。
初見で子連れはリスク大ですが、パックラフトの親子ダウンリバーにおけるよい目標となる川なのではないでしょうか。
4.メンバー構成・役割分担
メンバーは以下3名。
前:長女(小5)
中:次女(小1)
後:店長
前にTシート、中にアッパーシート(下に荷物)、後はパックラフト本体スターン(体がデカイので高さをプラス)にそれぞれ座りました。
シート位置は、重量がバランスよく全体に分散するよう、いったん仮置きし、試しに座ってもらうなどして、配置を決めました。
3名の場合の乗員配置で、理想を言えば…
- 前:ルートファインディング・操船補助のできるエンジン
- 中:パワー系エンジン
- 後:司令塔、操船舵取り
とはいえ、現実は…
- 前:ぼちぼち指示通りに漕げるエンジン
- 中:漕がないムードメーカー
- 後:司令塔、操船舵取り
こんな感じになりました(笑)
具体的な役割
前:長女
小学生ながら、エンジンや補助的な舵として、かなりの貢献を見せつけた姉。
また、浅い場所や障害物など、ルート判断に必要な情報を教えてくれるよう指導したのですが、川下りをする中で、徐々にいい見張り役となってくれました。
ありがたかった!
中:次女
基本的に、おやつを食べるくらいで何もせず、瀬の時にもただ舟にしがみついているだけ。
ちょっとした瀬でもキャーキャーと騒ぎたてるので、1日を通しての雰囲気作りという点では大きな貢献でした(笑)
もちろん、そういう人も大切!
後:船頭
子供が乗っている場合、操船はもちろんですが、あらゆる場面で目を光らせておく必要があります。
(正直、子供2人に対して大人1人はリスク高かった…反省です)
スカウティングや下るルート、ポーテージなど、状況判断と指示出し、舵取りなどやることは沢山です。
ホワイトウォーター系の川で子連れは気が抜けない!
また、不意に舟から落ちたり、転覆したりといったリスクもあるため、それぞれの対応も指導・練習しておく必要があります。
5.テスト結果
5-1.瀬における走破性(今回の主目的)
【安定性】
流れや波に対して縦に向いてさえいればかなり安定性が高い。
パックラフト自体の大きさ、3人の重量、人員配置のバランスが安定性に大きく貢献したと思われる。
【操作性】
後の一人だけで操船すると、とっさの方向転換がやや重く感じる。とはいえ、3人載せている割にはすごく重いというほどでもない。
前後の2人で漕ぐと楽なだけでなく、パドリングの息を合わせれば、操作性・スピードなど、すべてが飛躍的に向上する。
乗員3人に対し漕ぎ手が2人という、過半数が漕ぐ状況はかなり重要だった。
後の操船(シングルパドル)では、足元前ほどに荷物があると、足の支えになって、ダイナミックにパドリングができてよい。(ないとひっくり返りそうになる)
【その他】
波の状況次第だが、水を被らないようコース取りに気を使った。
水が沢山溜まってしまうと、重くなって操作性が落ちるし、あまり溜まると水出し(ひっくり返す)をするのが大変。
(今回は全行程で2回の排水で十分だった)
(水がたまった)
長さがあるため、大きな波を越えるときの舟の前後傾動の影響が大きく、前シートでは水から飛び出したような感覚のスリルがあるらしい。
5-2.トロ場での操作感
舟が長いため、特に複数人で乗ると、パックラフトとしては直進性が高く、スピードも出やすい。
(湖や海など、広い静水ではスケグ推奨だが、川ではスケグはない方がおススメ。)
二人で漕ぐとかなり楽なのと、「協力している!」という状況によって、より頑張れる感じがしました。
5-3.その他
高く座るシート類によって、子供でも遠くまで見通しが効き、危険個所の把握やルートファインディングが楽。
これはかなり価値の高い要素と感じた。
泳いで遊ぶときにつかまって休んだり、遊び道具を乗せるスペースも広く、遊びの母船としての能力が高い。
バウとスターンのグラブループにロープを結び、子供が掴みやすいようにするとよい。
6.まとめ
瀬やトロ場など、様々な条件で一日子供を2人乗せて漕いでみて、Nimbus EW tandem+の様々なポテンシャルを感じることができました!
瀬に対しては、操船技術の習得やチームとして臨むことなどで、2級程度では十分乗り超えられる安定性の高い舟だと感じました。
(振り返ってみれば、20年ほど昔はこういうセルフベイラー無しのダッキーでホワイトウォーターでもなんでもやっていたものです笑)
特に操作性に関しては、前後の乗員が協力することで、舟の大きさや重量を十分にカバーすることができると改めて感じました。
(2人乗りではもっと楽かも)
トロ場でも、メンバーと協力することで、一人ひとりの労力を減らし、しかも楽しく進ことができました。
その他、前のシートをイス系のシートとすることで、子供でも遠くまで見通しが効き、水深や障害物の見張り役など、多くの仕事をこなせることが分かりました。(子供たちの達成感もアップ!)
また、遠くまで見えること自体が楽しかった、とのことです。
(ただし、下に座るより、瀬での落水リスクは上がります)
(ゴール)
改めて考えてみると、タンデム艇のいいところは、メンバー同士で協力する楽しさと、それにより舟の性能が引き出されるところかもしれません。
メンバーが親子の場合、子供の成長を感じることができる点もステキだなと思いました。
今回、ホワイトウォーターの走破性テストを目的として親子で下ってみましたが、もっと大切なことが分かったような気がします。