2.必要な能力・技術・知識

大切だと思うことをピックアップしてみました。

読めばOKということではなく、練習しなくてはいけないことや、知識を得なければいけないことが何なのか、それを知るきっかけとしていただければ幸いです。

2-1.泳力

ウォータースポーツで一番大事なのは、泳力と言っても過言ではありません。
何かあっても大体どうにかなります。(絶対ではないですが)

ただ、パックラフトを使用する環境はプールではありません。自分の泳力がどこまで通用するのか、限界をよくよく知っておく必要があります。

店長がこれまで受けてきた川系の救助訓練の講習では、上手に流される・泳ぐ練習が必ずありました。流れる川の中では体力も消耗するし、ライフジャケットをつけた状態で泳ぐのは水泳とは少し違ってなかなか進みません。
また、障害物に体が引っかかった状態で水圧を受ける体験が定番ですが、これはとんでもない力が体にかかります。
こうした訓練は、大きな水圧に対し無力であることを理解し、可能な限り事前に回避することを意識させることが目的のようにおもいます。

いきなり 「泳力」と言い切ってしまうと、不安になる方も多いと思います。

それを補うのが、操船技術であり、チームであり、有事を想定した訓練です。
自主練、仲間との練習、プロの講習など、一日にして成らずですが、そうした過程を楽しむことも趣味の大切な要素だと思います。

2-2.再乗艇(リカバリー)

足のつかない水深に出る場合、ひっくり返った舟に復帰する技術は絶対に必要です。

リカバリー能力は、舟に乗る者のマナーと心得ましょう!!

川 パックラフト river packraft recovery リカバリー

反復練習して、まずは静水なら10-20秒くらいでのリカバリーを目指しましょう。

ただし、実際のフィールドでは、できるだけ楽に早く再乗艇できるよう、周りの仲間がサポートするとよいです。
それも初めてではうまくいかないので、練習する機会を持ちましょう。

2-3.操船技術

操船技術あっての楽しいパックラフティングです。

川 パックラフト river calmwater packraft 操船

パックラフトは安定性があり、初心者でも落ち着いて練習できます。
とりあえず本や動画で始めてみるのもいいと思います。案外、ある程度の操作はできるようになると思います。

ただし、経験者と一緒でなければ、コツをつかむまで安全な浅瀬で練習しましょう。

一方、レベルアップや流れのある川を下るためには、やはり経験者との練習やプロの講習をお勧めします。

技術がもたらすものは安全だけではありません。
フィールドをより楽しく味わうため、そして新たなフィールドを目指すため、技術はあなたのパックラフティングにより大きな自由の翼を与えることでしょう。

2-4.パックラフトの弱点を知る

パックラフトは携行性のために軽さを追求したボートです。

川パックラフト river  packraft 軽量 コンパクト light

そのために、それ以外の既存の舟と比べた時に、以下のように様々な要素を犠牲にしています。
それらを知ることは、パックラフターとして非常に大切なことです。

舟の特性を知り、それに適した計画を立ててこそ、最高の道具として機能します。

以下が代表的な弱点です。

・生地が薄い (刺し傷、擦り傷によるエア漏れなど)
・空気を入れてもある程度柔らかい (操作性が落ちる)
・水の抵抗が大きい幅広な形状 (スピードが出ない)
・軽すぎる (風の強い日は飛んでいくことも)
・などなど…

 

特に、カヤックやダッキーと比べ、破損しやすいことは心に刻んでおきましょう。
意外と多いのが、陸上での破損です。

車のドアで挟んだり、膨らませる前に砂利の上で踏みつけたり、荷物を載せたまま引きずったり、トゲのある藪の中を運んだり・・・

でも、どこかのタイミングで不意の破損はあるものだ、というのも必要な心構え。
応急処置ができる道具を常に携行することはパックラフターの基礎基本です。

 

 2-5.低体温症を知る

ウォータースポーツの代表的なリスクと言えばこれ!

症状等の専門的なことはここでは触れませんが、水は空気の20倍以上の熱伝導があり、温かい時期でもあっという間に体温が奪われてしまいます。

静水だと、実際には不意の転覆等のリスクは低いのは事実です。

ただし、すぐにリカバリーできる技術や速乾性のウェアの着用、着替え・タオル・防寒着等をドライバッグに入れて携行するなど、転覆を前提とした準備対策が必要です。

ドライスーツやウェットスーツまでは、通常温かい時期のツーリングには必要ありません。

(ホワイトウォーターの場合は、転覆して、冷たい水の中を体一つで暫く流されるくらいの想定で準備が必要)