井倉峡ツーリング!(講習 &ツーリングに挑戦 後編)
パックラフト始めたいです!!
近所に住む友人が、パックラフトを始めたい!ということで、ツーリングを目標に始まった後編。
前編では、3ステップの2まで、初体験から基本操作の練習を行いました。
- 静水~穏やかな川で操船体験
- 流れの中で操船練習
- ツーリングデビュー
パックラフトの安定感のおかげで、ひとまず1日でごく簡単なツーリングに必要な操船技術は身についたと思います。
(ソロでどこでも行ける技術ということではありません)
3. いよいよツーリングデビューへ
ツーリングデビューに選んだのは、岡山県西部の高梁川の井倉峡です。
風光明媚な石灰岩の面白さだけでなく、川沿いを電車が通るため車一台で完結出来て、使う駅次第でコースも短めにとることもできるので、とても環境が整った(?)川でもあります。
水量は方谷0.88前後。
(ちなみに今回のコースタイムは4時間。途中結構のんびりしています)
これまで下った中では最も渇水でした。
結果ギリギリ大丈夫でしたが、途中で浅すぎて下れないところがないか不安でした。
この水量だと、ある程度経験値のある人と一緒なら、パックラフトで大体行きたい方向に動ける技術があれば初心者でも大丈夫でしょう。
なお、再乗艇は場所に限らず必須の技術です。
スタート&仕上げポンピング
今回のスタート地点は井倉洞前(ちょっと上流側)のコンクリート護岸にある階段を下りたところです。
スタート前はドキドキしますね。
休日は井倉洞観光のお客さんが結構いるかもしれないです。
まずは適当なところまで膨らませて、数mフェリーグライドで中州に渡り、そこで仕上げポンピングをしました。
これは中州に渡ったところ。
ちなみに、仕上げポンピングにはいつもINTEXハンドポンプs(アマゾンで千円しません)を使っています。
川下りの最中にポンピングが必要になる場合もあるので、チームで一つ携行するようにしています。
序盤 石灰岩の魅力
井倉峡の魅力はやはり石灰岩特有の景観です。
そそり立つ白い岩壁、所々に現れる洞窟、水面近くにはノッチ(水で削られたへこみ)・・・
岩肌そのものにも悠久の時の流れが作る様々な表情を見ることができます。
さて、最初に現れるのは井倉洞のシンボルでもあるダイナミックな滝です。
絵になりますねぇ。
ただし、雨の後など、水量の多いときはあまり近づきすぎると落石の危険があります。
ほかにも、大きな岩壁の直下等にも落石の可能性はあるので、雨後や強風時はあまり近づかないようにした方が無難です。
井倉洞入口の橋を越えると、左岸に洞窟が見えてきます。
短いですが通り抜けが可能で、他の川ではなかなかできない異質な体験ができます。
今回は渇水のため、今までよりかなり空間が広く感じられました。
波打つ白い岩肌はいつ見ても美しく、地質的ロマンを感じます。
出口も素敵です。
洞窟を抜けると鉄道橋梁、そして次の見どころノッチゾーンの岩壁が見えてきます。
橋梁の前でスカウティング。
これが便利な膝立ちスカウティング!
セルフベイラーなど、オープンデッキ系の舟だとデッキ上に立つことができるので、早めに危険を察知・対処できます。
ここでは鉄道橋梁の橋脚周りをチェック。
こういう場所には、洗堀防止のための人工物がよく置いてあり、我々にとっては危険なストレーナーになっている場合があります。
また今回のような渇水時には、スムーズに通れる水深のあるルートを早めに見極めることも重要です。
☆ノッチに注意☆
ノッチゾーンには特有の注意点があります。
それは水衝部では岩壁との距離を保つことです。
舟が岩壁に押し付けられると、ひっくり返る可能性が高いです。
ノッチとは、長期間そこに水位があったことにより水平方向に削られ(溶食など)て出来た地形です。
川下り的には要注意な地形で、水位によってはアンダーカットになってしまいます。
特に、水衝部では水の流れが下に入り込んで行くので・・・沈したら、たぶんかなり危険です。
流れの強さにもよりますが、そういう場面では適度に岩との距離を取りましょう。
さてさて、ルートが確認でき、ある程度の緊張感を相互に確認したら、レッツゴーです!
ノッチゾーン、いかがだったでしょうか。
下る前は渇水の心配ばかりしていましたが、水位が低いため、ノッチの天井と水面の空間が大きく、舟で入っていけるではないですか!!
豊水期、これがアンダーカットとなっていると思うと、ちょっと恐ろしいですねけどね…まぁ、実態が分かったのはよかったかも…
ここへは何度も来ていますが、実はノッチの下にもぐれたのは今回が初めて!
渇水ならではの魅力があることを今回改めて発見できました!
初めての空間に胸がときめきます。
白く波打つ岩の天井をナデナデしながらゆっくりと進んでいきます。
水面に反射した日光が岩肌で揺らめきます・・・
ノッチゾーン遠景。いま入ってます。
こんな空間初めて見ました!!
流れが緩い場所はじっくり見られる。
岩肌が素敵。
いやー!渇水もなかなかいいですね!
堪能しました!
ノッチゾーン終わり。
さて、ノッチゾーンが終わると、序盤の楽しい石灰岩のアトラクションも終わり。
ここから先、暫くはのんびりツーリングです。
中盤 優しい瀬とザラ瀬、ゴーロ帯
この時、4月中旬。川原は菜の花畑になっていました。
初めてのツーリングのN君はストロークを確かめながら、のんびりと進みます。
途中、優しい瀬が数度現れます。
初心者でもそれほど危なげなく、楽しく下れる瀬です。
N君、「揺れますねぇ!」と嬉しそう。
お昼と焚火
さて、川が90度屈曲する場所にやって来ました。
ここで昼休みにしようと上陸。
ここは支流が流れ込んでいて、小さな扇状地のような川原ができています。
本流と違いある程度きれいな水が手に入るのでここでラーメンを作ることに。
今回は、ラーメンのお湯が沸かせるだけの、小さな焚火をしました。
ライター1本で得られる楽しい時間。
乾いた焚火もある程度あって助かりました。
ちなみに私店長は、焚火のできる可能性があれば、できるだけバーナー類は持っていかないことにしています。
単に焚火が好きなこと、荷物が減ること、そしてなんとなく活動の充実感が増すような気がするからです。
でも、子供との川下りで、雨の後だったりするとビビッて何か持っていきます(笑)
まだ肌寒い季節。温まる~。
そうそう、薪を集めていたら、鹿の角や沢ガニなど、思わぬ収穫もありました。
N君のお土産になりました。
支流に住む沢ガニ。子供と来たときは探して楽しめそう。
☆川下り以外の要素も大事☆
パックラフトの川旅では、たとえ日帰りでも、ぜひともこうした川下りそのものではない時間を楽しむ余裕や準備をすることをおススメします!
子供とアクティブに遊ぶもよし、コーヒーを飲んでくつろぐもよし、川に足を浸けて好きな雑誌を読むもよし・・・
きっとそれもパックラフトらしい楽しい活動に大切な要素なんだと思います。
また、パックラフトは積載量も大きく、余分なものを持ち運ぶのにも適しています。
ちなみに私は、今度ギターでも載せてみようかなぁと思っています(笑)
なお、昼休みの間は、バースト防止のためパックラフトの空気は少しだけ抜いておき、出発前に再度ポンピングをしました。
再出発
出発したら、優しい瀬、トロ場が交互に出てきます。
豊水時は結構大きな波になりますが、今回は初心者向け。
トロ場。1時間に一本以下の電車。通ればラッキー(笑)
鉄道橋梁を越える川幅が広がり、一番心配していたザラ瀬となります。
豊水時はどこからでも通過できますが、渇水時はそうもいきません。
膝立ちスカウティングの使いどころです。
高い視点からできるだけ水深があるところを探します。
ここは難所ではないですが、「流れを読む」作業は川下りの楽しさの一つでもあります。
コースが見えれば、そこへ岩の間を縫って向かいます。
今回は、左岸からの右岸。
ここでN君、初心者らしくフェリーグライドせずに流されて、中央の浅瀬でスタック(笑)
まぁ、いきなり何でもうまくはいきませんね。
振り返って流れを確認し、「なるほど」と納得していました。
その後、線路沿いのゆったりとしたトロ場を超えると、またいくつか瀬が断続します。
それぞれのレベル・間隔がほどほどで、軽快なエリアです。
N君、瀬の操船にも大分慣れてきたようです。
瀬が落ち着くと、岩だらけのゴーロ帯です。
水深のありそうなところを選びながら、岩の間を縫っていきます。
ゴーロ帯の最後は、川幅いっぱいに礫の堆積した中を水が浅く分散して流れ落ちています。
難所ではないけれど、できればスムーズに通過したいところ。
落ちる直前までどこから行くべきかなかなか判断しにくいのですが、流れもそれほど強くないのでぎりぎりまでよく観察してコースを決めましょう。
やはり膝立ちスカウティングが有効です。
「どこが正解かわからん(笑)」って言ってましたね。
左岸側に正解がありました。
振り返ると、ここしかなかったなという感じがします。
ちなみに、初心者N君は中央付近から進み、スタックしかけていました(笑)
さて、ここまでくれば、井倉峡最大の難所はもう目の前です。
終盤の難所
トロ場の向うに橋梁が2つ見えてきます。
その先には序盤で見たような白い岩壁がそそり立っています。
高梁川はそこで大きく屈曲します。そこが難所です。
まずは少し手前、トロ場の終わり上陸し、スカウティング。
先ほどのゴーロ帯の最後のように、礫が積みあがって高低差(落ち込みという感じではない…)が出来ているのですが、その手前から瀬となっているため、直前であれこれ悠長に考える余裕はあまりありません。
そして、高低差を下れる場所は、右岸側と左岸側に分かれています。
過去に下った感じでは、水量が少なければ左、多ければ右でしょうか。
左コース
左は水量が少なくてもある程度水深が保たれています。
ただ、勢いよく下りた先で、流れが岩壁に垂直に直撃しています。
おそらく、その下は序盤で出てきたノッチと同じようにえぐれていると思います。
つまり、ここでの壁に激突&沈は絶対に避けたいということです。
高低差を下ったら即座に右へ舵を切り、激突する流れから脱出しましょう。
水量が多ければ、岩壁への激突を避けるのにパワーや的確なコース取りが必要なので自信がなければ避けましょう。
右コース
右の高低差はやや浅く、階段状に駆け下る感じです。
なので、渇水時は岩が出ている部分もあり、途中で引っかかり、バランスを崩すかもしれないです。
勢いよく流れ下るゴロゴロの浅瀬で投げ出されると・・・体へのダメージが怖いですよね。
逆に豊水期は、ほぼ流れのままに行けばよいのでこちらの方が安心です。
というわけで、渇水時は左、豊水時は右が私のお勧めです。
今回は渇水ということで、左を選びました。
どちらを選ぶにしても、高低差に入る前にいくつかかわさなければいけない岩があります。
スカウティング時には、どの岩のどちらを進み、どのコースで高低差に入っていくか、しっかり見定めておきましょう。
目印にする岩を決めておくとよいと思います。
ソロだったり、初心者の場合はポーテージも選択肢です。
さてさて、舟に戻って高低差に向かいます。
遠くに目印の岩が見えてきました。
流れが勢いを増します。
さあ、高低差へ、大体思ったルートで進入です!
ドドドっと駆け下り、抜けた直後に急旋回・・・・
無事流れを脱出。
(カメラの充電がこのタイミングで切れた~!!)
ふぅー、迫りくる岩壁・・・いつ来ても緊張します・・・
N君も無事通過。
(初心者ながら妙にセンスがあり、同じコースで行きましたが、普通初心者はポーテージが無難です…)
これを過ぎると、トロ場と少し広めの川原です。
国道が近いのでちょっと音は気になるけど、人家が遠く気兼ねなく焚火もできて楽しめます。
以前ブログに書いた、親子ツーリングの時はここでキャンプをしてツーリングを終えました。
川原の先でまた一つ瀬(ちょっと強め)を超えると、もう大きな瀬はありません。
最後はゴールに向かってのんびりと、一日を振り返りながら漕いでいきましょう。
難所を振り返り、ホッとしたひと時。
ゴール&電車リターン
ゴールの方谷駅は左岸側にあります。
上陸ポイントです。
橋の手前に草地の小さな河川敷があり、そこで上陸と着替え、パッキング作業ができます。
ただ、隠れる所があるわけではないので、着替え用の巻きタオル的なものがあるとよいでしょう。
また、地元の方が草刈りをしてくれているようですが、イバラ系のトゲがある草が生えているときがあります。
パックラフトにピンホールが空く可能性があるので、舟を乾かす場所はよく確認しましょう。
終わった・・・
そしてもう一つ。
この辺りでは川下りはまだまだマイナースポーツです。
地元の人に怪しまれないように、笑顔で挨拶、ゴミは持ち帰る、ですね!
パッキングが済めば、道路の高さへ上がる階段もそこにあります。
相変わらず、パッキングは適当感が強い…
階段を上がれば駅は徒歩2分です。
ここ方谷駅は無人駅で、大体1~2時間に一本しか便がありません。
できれば事前に時刻を調べ、その時刻に間に合うようにスタート時刻や休憩のペースなどを調整しておきたいですね。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか?
初心者N君と行く、井倉峡ショートツーリング。
今回のコースタイムは4時間。
途中焚火をしたり、結構のんびりと下ったと思います。
水量は方谷0.88前後。
渇水ならではの体験をすることができました。
逆に増水したタイミングでは、ホワイトウォーターの楽しみが増えることになります。
- 序盤に石灰岩の魅力。
- 中盤は程々に気持ちの良い瀬が現れ、昼はプチ焚火。
- 終盤、ザラ瀬やゴーロ帯を越えて、最後は緊張感のあるクライマックスでした。
泊まりで来るなら、終盤の川原でキャンプして、翌朝少しのんびりして、昼前に井倉洞見物をして解散なんていうのもいいと思います。
高梁川井倉峡、オススメです!!
N君。初めてのツーリング、充実していたね!!
おしまい